無酸処理の海苔【葵】
鹿児島・出水は鶴の飛来地として有名。山と海に囲まれた自然あふれるこの地域では昔ながらの“海苔つくり”を取り組んでおられます。漁協そして海岸となる浜全体が協力し、酸を使う事を禁止。小さな町だからこそ取り組める養殖でもあります。
海苔の養殖
海苔の養殖は海水温が下がる秋から冬場にかけて行われます。海水の満ち引きを利用し、海水に浸っている間に海苔が生長し、海面からでて干されている間は、太陽により海苔以外の菌を掃除。また冷たく乾燥した空気に晒すことで純度の高い海苔を残すことができます。
無酸処理とは
海苔の菌は海水に浸っている間に侵食を繰り返し増えていくのですが、短時間で効率的に収穫(多収穫・短時間)
する為に、海水に浸しっぱなし、天日に干さないことで病気の発生を増やしてしまいます。この病気を死滅させるために“有機酸”という劇薬で海水もろとも殺菌してしまいます。この“有機酸”で抑えきれないようなら濃度をあげ海水にばらまくのですが、海辺に住む生物もろとも死滅させるほど威力があるため“海の農薬”と言われています。海水が赤く染まるほど通常の海苔の現場では当たり前に使われていますが、近年有明海の開門問題は海流の流れではなく、この“有機酸”の使用ではないかという声もあがっています。
食べ物であるからこそ
口にするからこそ安全なものでありたい。便利でありながら一方で生態系への影響が懸念され危険性の高い有機酸の使用は我々消費者の消費行動が支援している側面があります。多収穫量により生産者の生活が保障されていくはずが、有機酸使用をすれども海苔への評価は下がる一方。大型の機械導入などによる経費負担分の収入は捻出されず後継者の存在も懸念されています。昔ながら“手作り”手間暇生産者の想いがこもる無酸処理の海苔を次世代へ繋いでいければと考えています。
【葵】 焼海苔全型 10枚 1,080円
葵は海苔の原種と言われている“アサクサ種”からできています。アサクサが持つ香りと味は、どの生産者が食べてみても納得のできる味わいなのですが、生産が難しく10年ほど前一度収穫できなくなった品種です。農業試験場に確保してあった種を分けてもらい無酸処理にて出水湾で挑戦。何度も失敗を繰り返しています。まだ収穫量が安定せず毎年供給できるわけではありません。アサクサ品種の無酸処理海苔は本当に貴重で価値があります。